紙管のお話し

紙の面白い話しをしていきます。

紙の強度とは

紙を作る際には「パルプ」を一定の方向に流しながら製造しますので紙の繊維の向きが一定の方向を向きます。これを「流れ目」といいますが、この流れ目に沿って破れやすく曲がりやすいなどの性質があります。

それを把握したうえで様々な紙製品が作られています。紙の箱などは紙目が垂直になるようにしなくてはなりません。

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紙の強度はこれだけで決まるわけではありませんが、基本的な考えとして重要なものになります。

 

板紙

板紙とは、紙の中でも厚いものを指します。主として箱、紙器などに使われています。

主なものに、白板紙 片面あるいは両面を塗被していない白色ライナーですき合わせたもの。ホワイトマニラ、白ボールなどがあり、用途別には紙容器、牛乳瓶栓用、乗車券用などに分けられます。

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❒紙の区分

紙と言っても種類は様々です。大きくは『紙』と『板紙』に分類されます。その中でも、さらに細かく分類分けすることができます。

 

●紙

印刷・情報用紙

新聞紙、雑誌、OA紙、小切手、紙幣、ノートなどの情報を記録したり伝えたりするもの。

衛生用紙

ティッシュペーパー、キッチンペーパー、トイレットペーパーなどの水分や汚れを吸収したり、拭き取るために使用するもの。

包装用紙

包み紙、ショッピングバック、封筒、お菓子などの包み紙などの紙。クラフト紙とロール紙があります。

雑種用紙

加工原紙、半紙、ティーバック、ライスペーパーなどの用途のために加工された紙。

 

●板紙

段ボール原紙

パルプ芯や段ボールに使われるもの。

紙器用板紙

絵葉書、石鹸や化粧水の化粧箱などの表面さらしパルプを使用した紙。

その他の板紙

布やテープなどの芯や紙の筒、建材用の防水の原紙など。

 

❒紙の原料

紙の原料はパルプと呼ばれ、木をほぐして出る繊維を集めたものです。紙は針葉樹や広葉樹から採られるフレッシュパルプと、一度紙として使われて再びパルプ化した古紙パルプがあります。

最近、注目されているのは、木を原料としない非材木原料の紙が注目されています。針葉樹は繊維が長いので紙の強度がよく、広葉樹は繊維が針葉樹に比べて短いので、平滑性がよくなります。古紙パルプは一度紙として使用されていますので、紙の強度もしなやかさも低いものとなり、数回再生されるうちに繊維が弱まって再生できなくなります。


 

 

紙管とは?

紙管とは、段ボール・新聞・雑誌などの古紙を原料とした、100%再生紙製品のことです。また、容器として用いられることもあります。

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【用途】

容器

ポスター、設計図、カレンダーなどの紙製品を丸め、紙管の内部に収めて容器としても用いられます。底が塞がった蓋付きのものもあり、みなさんご存知な卒業証書用の丸筒などとしても用いられているほか、大型のものになりますと、お菓子を詰める容器としても用いられます。

巻芯

ラップフィルム、粘着テープ、壁紙、障子紙、繊維などの巻芯として用いられています。巻芯として用いられるものの中には、紙管表面に緩衝材で加工を施しているものがあります。

【特性】

・焼却性に優れている

・リサイクル可能で環境に優しい

・軽量で取扱が容易

・衝撃に強く復元力がある

・紙であるため割れない

 

紙管を使った建築が海外で注目!

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多くの仮設の建物が災害などの後に建てられています。紙管を用いた建築は、材料費、建設費などを抑えることができ、さらにスピーディーに完成させることが出来ます。

1995年の阪神淡路大震災により焼失した教会のために、紙の教会がわずか5週間ほどで建てられました。紙と聞くと強度が心配かと思われますが、実際はかなり強いです。その後、10年ほど、神戸の地で人々に利用されてきました。2005年には解体されますが、同じように震災の被害を受けた台湾に移築され、地域のコミュニティーセンターとして活用されています。

東日本大震災では、避難所にプライバシー保護を目的とした簡易な間仕切りとして、紙管とカーテンで作られました。

紙管の最大のメリットとしては、環境に優しいという点。建物を建設した後は、すぐに解体して建材を処分しなくてはならないこともあります。紙管は解体が容易に出来るだけでなく、廃材が紙なので、環境に非常に優しいです。

今回は、『紙管』についてご紹介しました。

身近な存在ではありますが、普段はあまり意識しないであろう『紙管』。様々なメリットもありますので、改めて注目してみて下さい。

 

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